2010-01-01から1年間の記事一覧

「ヤコブ・ダズートの千秋」のために

The Thousand Autumns of Jacob de Zoet作者: David Mitchell出版社/メーカー: Sceptre発売日: 2010/05/13メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (6件) を見る"The Thousand Autumns of Jacob de Zoet"の主人公は1799年の7…

2009ネビュラー賞はバチガルピに

2009 Nebula Awards が発表になりました。今年の長編賞は、パオロ・バチガルピ、チャイナ・ミエヴィル、シェリー・プリーストらの三作がヒューゴー賞とダブッているということで注目されていたのですが、まずはPaolo Bacigalupiの"The Windup Girl"が見事ネ…

バチガルピの"The Windup Girl"読書中

近未来のタイを舞台に、タイ語、中国語、日本語、マレー語などが飛び交い、なかなかの手ごわさですが、緻密な世界設定に加えて、登場人物たちがみな陰影に富んだ性格の持ち主で魅力的。申し訳ないけど、Boneshakerよりは小説として一枚も二枚も上手(うわて…

2010 EdgarAllan Poe Awards 長編賞は、John Hart の"The Last Child"

4月29日にエドガー賞の発表がありました。実は前日のウォールストリートジャーナル紙に、エドガー賞を複数回受賞する作家が殆どいない。「the first Edgar is often the last」だという記事が出たところだったんですが、この批判をくつがえすかのように日…

Arthur C Clarke Award はミエヴィルが受賞

The City & The City作者: China Mieville出版社/メーカー: Pan Books発売日: 2010/01/01メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見るArthur C Clarke Award を、China Miévilleの"The City an d the City"が受賞しま…

Fugue State 読書中

Evensonの"Fugue State"をポツポツと読書中。確かに尋常ではない短編集。普通の意味でのオチがない話も多い。にも関わらず異様な迫力がある。登場人物の多くは物事に感じすぎたり、強迫観念に取り付かれていたり、現実と妄想の境界がわからなくなった人ばか…

Brian Evensonがすごいらしい

Fugue State作者: Brian Evenson,Zak Sally出版社/メーカー: Coffee House Pr発売日: 2009/07/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見るあーっ、TwitterでBrian Evensonという作家のことが話題にのぼってると思…

デイヴィッド・ミッチェルの新刊が来月発売に

David Mitchellが次回作の取材のために日本に滞在してたことは聞いてましたが、ようやくその作品が発売になります。タイトルは"The Thousand Autumn of Jacob de Zoet"。18世紀末の日本にやってきたオランダ東インド会社の職員ヤコブを主人公とするエピッ…

これから読む本 --- Cherie Priestの"Boneshaker"

Boneshaker (Sci Fi Essential Books)作者: Cherie Priest出版社/メーカー: Tor Books発売日: 2009/09/10メディア: ペーパーバック クリック: 20回この商品を含むブログ (3件) を見る『1Q84』も無事読み終わったので、そろそろ英語の小説に復帰。ミエヴ…

スカーレット・トマスの新作"Our Tragic Universe"

Our Tragic Universe作者: Scarlett Thomas出版社/メーカー: Canongate Books Ltd発売日: 2010/05/20メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見るポストモダンついでに、一昨年翻訳された『Y氏の終わり』(書評はココとか)が評判になったスカ…

Geoff Dyerが気になる

Out of Sheer Rage: In the Shadow of D. H. Lawrence作者: Geoff Dyer出版社/メーカー: Abacus Software発売日: 1998/08/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見るこないだからGeoff Dyerという作家のことが気になってて、何冊か仕入れ…

ジョー・ヒル情報

せっかくなのでジョー・ヒル情報もいっときましょうか。スティーヴン・キングの次男ってことはもういいですよね。御本人のブログがこちら。 http://joehillfiction.com/"Horns"のプロモーションでアメリカ・イギリス・カナダを忙しくまわったばかりの模様。T…

デビルマン誕生、というかジョー・ヒルの新作『Horns』のこと

Horns作者: Joe Hill出版社/メーカー: Gollancz発売日: 2010/09/16メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見るジョー・ヒルが出たついでに、彼の新刊『Horns』も御紹介。滅多にしないことですがハードカバーで買って読んじゃいました。主人…

『ヒー・イズ・レジェンド』読了

ヒー・イズ・レジェンド (小学館文庫)作者: ジョー・ヒル,スティーヴン・キング,F・ポール・ウィルソン,クリストファー・コンロン,風間賢二,白石朗出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/04/06メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (12件) を見…

バチガルピ、バチガルピ

その筋では話題のバチガルピですが、"The Windup Girl"のペーパーバック版がようやく5月15日に発売になります。自分用と店用にさっそく予約注文。Night Shade Books なんてジャンル系独立系出版社の本を置いてる本屋なんて、うちの店ぐらいかも知れない(…

ちぇっ

『1Q84』の第3巻は明日16日が正式の発売日なんだけど、1・2巻の時は三宮のジュンク堂では前日から販売してたもんで、さっき張り切って買いにいった。だけど、今回は販売協定があって16日の午前0時まで販売しちゃ駄目なんだそうだ。まぁ、理解は…

本好きならツイッターでフォローしておくべき50人の人々。

洋書に興味があってツイッターをしている人なら必見の記事かも。50 Best Book People To Follow On Twitter http://www.huffingtonpost.com/2010/04/09/50-best-book-people-to-fo_n_529295.htmlニール・ゲイマン、マーガレット・アトウッド、J・K・ローリ…

滅び行く書店文化へのレクイエム

滅びゆく書店文化を象徴しているようで思わず撮影してしまいました。神戸市中央区湊町一丁目あたり。倒産した本屋のあとに借り手が現われず、そのまま廃墟化した建物が日本中にあるだろうから、そういうのを写真に撮って本にしたら面白いんじゃないかとフト…

2010年ヒューゴー賞候補作発表

ヒューゴー賞の候補が発表になりました。Novel部門とNovella部門の候補作だけ載せときますので、後はこちらのページを御参考にどうぞ。Best Novel * Boneshaker, Cherie Priest (Tor) * The City & The City, China Miéville (Del Rey; Macmillan UK) * Juli…

素数の音楽

素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)作者: マーカス・デュ・ソートイ,冨永星出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/08/30メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 70回この商品を含むブログ (92件) を見るあー、面白かった! フェルマーの定理と並んで数学上の…

Fried Clam について

Joe Hillの"The Horns"を読んでたら、「fried clam」なる食べ物が出てきて気になった。 clamはクラムチャウダーのクラムで、普通はアサリのことだから、揚げアサリ? いや、英語の「fry」はたんに油で炒める場合もあるから、アサリ炒めのことか? どちらにし…

『鳥 デュ・モーリア傑作集』

鳥―デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫)作者: ダフネデュ・モーリア,Daphne du Maurier,務台夏子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2000/11/17メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (36件) を見るなぜ今頃と言われそうですが、こ…

デヴィッド・ピースが選ぶ Literary Top 10

CatalyさんのTwitter情報から『Tokyo Year Zero』のデヴィッド・ピースが選ぶ「My Literary Top 10」 http://www.pulp.net/58/top10.html1 今まで読んだ最高の短編 芥川龍之介が1927年に自殺する直前に書いた「歯車」2 国の教育カリキュラムに組み入れ…

『螺旋』読了

買った時の話はこちら。螺旋作者: サンティアーゴパハーレス,木村榮一出版社/メーカー: ヴィレッジブックス発売日: 2010/02/27メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 127回この商品を含むブログ (36件) を見るうーん、ちょっと期待はずれかな。 帯を見た時は…

日本のマンガがティプトリー賞を受賞

よしながふみさんの『大奥』が、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞に選ばれたということで、Twitterが盛り上がってますね。不覚にもVizから英訳が出てたことも存じませんでした。よしながさんの本は『きのう何食べた?』しか読んでないんだなぁ。『大奥…

Wikipediaは凄いなぁ

日本のウィキペディアはショボイけど、本家英語のは凄いなぁ。さっき偶然見つけたのが、「作中に架空の小説が登場する小説」のリスト。質量共に圧倒的です。http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_fictional_books#Works_invented_by_Andrew_Crumeyこういう…

『螺旋』の帯がすごい!

螺旋作者: サンティアーゴパハーレス,木村榮一出版社/メーカー: ヴィレッジブックス発売日: 2010/02/27メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 127回この商品を含むブログ (36件) を見る本屋で見かけて思わず買ってしまいました。 サンティアーゴ・パハーレス…

「氷と炎の歌」ドラマ化

ジョージ・R・R・マーティンの「氷と炎の歌」シリーズがHBOでドラマ化されるという噂は前からありましたが、いよいよ本格始動したようです。オープニング・シーンとされるパイロット版の映像も公開されています。見るからに「幽霊の森」のようですが、…

"The Love We Share Without Knowing" by Christopher Barzak

The Love We Share Without Knowing: A Novel作者: Christopher Barzak出版社/メーカー: Bantam発売日: 2008/11/25メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る先日発表されたネビュラー賞の長編候補にクリストファー・バルザック(Christopher…

たまたま

去年の後半から確率論やリスク論の本をちょこちょこ読んでるんだけど、松岡正剛さんが千夜千冊の連環篇で、まさにそういう本ばかりを紹介してくれてました。まさに「たまたま」なんだけど、連環篇の最初に取り上げられたのは私も読んで大いに感心したレナー…