『鳥 デュ・モーリア傑作集』

鳥―デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫)

鳥―デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫)

なぜ今頃と言われそうですが、これまでなんとなくダフネ・デュ・モーリアを敬遠してきたのでした。もちろんヒッチコックの『鳥』『レベッカ』の原作者だってことは知ってるし、早川書房の異色作家短編集に入ってるからには読んでおくべき作家であることはわかってました。でも食指が伸びない時は伸びないもので、おそらく映画版の『レベッカ』を観た時に、「ああーっ、そういうことしなきゃいいのにーっ!」とやきもきし過ぎたせいで、途中で観るのをやめてしまったのが原因でしょう。さらには、彼女の長編にロマンス小説っぽいイメージがつきまとっていたのも一因かも知れません。

とにかく初めてまともにデュ・モーリアの短編を読みましたが、ほんとに傑作揃いなんでビックリしました。特に「モンテ・ヴェリタ」は溜め息の出るような作品。マイ幻想短編オールタイムベスト10に入れてもいいくらい。特にリストがあるわけじゃないですが。

このところあまり面白い小説に出会えず、ノンフィクションばかり読んでたんですが、久々によくできたフィクションの醍醐味を味わわせてもらいました。感謝。