『ヒー・イズ・レジェンド』読了

ヒー・イズ・レジェンド (小学館文庫)

ヒー・イズ・レジェンド (小学館文庫)

リチャード・マシスンへのトリビュート短編集『ヒー・イズ・レジェンド』読了。
ネットの評判だとキング親子による共作「スロットル」に傑作との呼び声が高いようですが、私は今ひとつ入り込めませんでした。最初にこの共作の話を聞いたときは興奮したもので、きっとバイカー親子の各々の視点から交互に話が進行していくんだろうと想像してたんです。でもって、どちらのパートをどちらが書くんだろう。キングが父親視点の話で、ジョー・ヒルが息子視点の話なら普通だけど、逆だったら面白いなぁ、とかたっぷり妄想してたんですが、蓋を開けてみれば危なっかしげな息子を父親が見守るという構成になっていて、勝手にがっかりしてしまったのでした。ので、作品が悪いわけではありません。
「スロットル」を別にすると、『恐怖の家』へのトリビュート「地獄の家にもう一度」が長さもたっぷりあって読み応えあり。
マシスンの『地獄の家』は映画版をテレビで何度も再放送してたのでご覧になった方も多いでしょうが(岡本茉莉さんと富山敬さんの吹き替え)、悪霊に取り憑かれた家への第三次調査団の物語でした。ナンシー・A・コリンズによる「地獄の家にもう一度」は二度目の調査団を襲った惨劇を描いたもので、これを読んじゃうとマシスンの『地獄の家』が読みたくなってしまう……

ということで、我が蔵書の山の中から引っ張りだしてきました。

昭和49年発売の年代物です。どこの古本屋で買ったのかまったく記憶にありません。早速読んでみましたが、エンターテイメントとして非常によくできているものの、さすがに古さを感じるのは否めません。とはいえ、ラストクライマックスでの「家」の暴れっぷりは凄いです。