Geoff Dyerが気になる

Out of Sheer Rage: In the Shadow of D. H. Lawrence

Out of Sheer Rage: In the Shadow of D. H. Lawrence

こないだからGeoff Dyerという作家のことが気になってて、何冊か仕入れました。最近出した"Jeff in Venice, Death in Varanasi"という作品が話題になってましたが、私が読んだのは"Paris Trance"という作品を絶賛する書評です。写真関係のノンフィクションも手がけているようで、"The Ongoin Moment"という写真論も面白そう。一番気になってるのは"Out of Sheer Rage: In the Shadow of D.H.Lawrence"という作品で、これは『チャタレイ夫人の恋人』の作者D・H・ロレンスについての本を書こうとしてどうしても書けずに苦悶する男の話。日本で誰か読んでないかとGoogleで検索したらこのブログが出てきて苦笑い。そうか「ポストモダン小説61選」のなかで、聞いたこともない作品の1冊だったんだ。こうして再び巡り会えたのも運命なので、こんどこそ読むことにしようっと。書評を読んだ限りでは、『アウステルリッツ』のG・W・ゼーバルトに近いような予感もしてます。

結構注目株の作家みたいなのに日本では誰も目をつけてないのかと思ってたら、なんと『モンキービジネス』Vol.9に、ジェフ・ダイヤーの「もしセロニアス・モンクが橋を造っていたら」が村上春樹訳で載っているとの情報をTwitterで発見。早速チェックしてみよう。

追記:
「もしセロニアス・モンクが橋を造っていたら」は素晴らしかったです。ダイヤーも村上さんもモンクも素晴らしい。店でThelonius Himselfをかけながら読んでたらどっぷりと深い世界に引き込まれてしまいました。このタイトルは村上さんがつけたものだけれど、元になってる部分は以下の通り。

もしモンクが橋を造っていたら、彼は構造上不可欠と考えられている部分をそこからどんどん取り去っていっただろう。そしてあとに残っているのは、装飾的な部分ばかりということになっただろう。しかし彼は、どうやったのかはわからないが、その装飾的な部分に構造材の剛健さを吸収させることができた。だから存在しないもののまわりに、あたかもそれが存在するかのように、すべてをくっつけていくことができたのだ。普通に考えれば、そんなものが本来建っていられるはずはないのに、ちゃんと建っている。そしてそれが今にも崩れ落ちてしまいそうに見える――モンクの音楽がいつも今にもぷつんと途切れてしまいそうに見えるのと同じく――というところから興奮が生まれる。(『モンキービジネス Vol.9』204ページ)

モンキービジネス 2010 Spring vol.9 翻訳増量号

モンキービジネス 2010 Spring vol.9 翻訳増量号