世界で一番稼いでいる作家ベスト10

経済誌Forbesのサイトに掲載されていた、「the world's 10 top-earning authors」のリストです。本当に世界一なのかは疑問なので、一応「英米圏で一番稼いでいる」ぐらいに考えておけばいいと思います。

http://www.forbes.com/2010/08/19/patterson-meyer-king-business-media-highest-paid-authors.html

1. James Patterson $70 million
2. Stephenie Meyer $40 million
3. Stephen King $34 million
4. Danielle Steel $32 million
5. Ken Follett $20 million
6. Dean Koontz $18 million
7. Janet Evanovich $16 million
8. John Grisham $15 million
9. Nicholas Sparks $14 million
10. J.K.Rowling $10 million

著作の売上だけではなく、映画化・TVドラマ化などに伴なう収入も含んでいますが、それにしても一位のジェイムズ・パターソンが7000万ドル(約60億円)は凄いです。日本は数年前から納税者番付が発表されなくなったのでよくわかりませんが、2005年の1位西村京太郎氏の納税額が1億5千万円ですから、規模の違いはわかりますね。

アメリカで購入された全小説のうち、17冊に1冊はパターソンによるものというから凄まじい。自分でどれだけ書いてるかは少々あやしいところもあるので、少なくとも表紙に名前が書いてあるものってことですが。

村上春樹『1Q84』の英訳について

村上春樹の『1Q84』の英訳について始めて情報らしい情報が入りました。

JapanTimesのこちらの記事(http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fb20100815a1.html)によると、

Book1とBook2は1巻本として、Jay Rubinによる翻訳が2011年中に出版される。その後、Phillip Gabriel翻訳によるBook3が出版される。

ということです。日本語版でもまだBook4が出るのかBook0が出るのか予断を許さない状況ですので、Books3の翻訳版が出るのはいつになるか分からないですね。

取り急ぎご報告まで。

[追記]
上のJapanTimesの記事はなかなか問題含みなしろもので、『ダンス、ダンス、ダンス』や『ねじまき鳥クロニクル』の時はムラカミもそんなに有名じゃなかったから大胆にカットした版を出せたんだけど、今じゃ有名になりすぎてそういう訳にも行かないから冗長なオリジナルを我慢して読まなくてはならない……ってなことを書いてます。まことに英語圏における翻訳文学に対する軽視といいますか、外国文化の受容のあり方そのものを疑いたくなるような文章ですが、もちろん皆が皆そういうわけではなく、Literary Saloonなどでは呆れておられます(http://www.complete-review.com/saloon/archive/201008b.htm#re6)。

アメリカの大手書店チェーン Barnes & Noble に売却話

http://www.asahi.com/digital/av/TKY201008040095.html
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/08/04/019/

Barnes & Noble のプレスリリースがこちら。
http://www.barnesandnobleinc.com/press_releases/2010_aug_3_bks_strategic_alternatives1.html
出版業界紙Publisher's Weeklyの記事がこちら
http://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/bookselling/article/44049-b-n-considering-sale-riggio-may-make-bid.html

驚きました。アメリカの大手書店チェーン「Barnes & Noble」が会社の売却を検討しているというニュースです。

日本と違ってアメリカでは「Borders」と「Barnes & Noble」という二つの書店グループの寡占状態が続いています。両社ともアメリカ全土に700店以上の書店を抱える巨大チェーン店です。本の値引き販売が自由にできるアメリカでは、上記の二書店とAmazonをはじめとするネット書店とが熾烈な価格競争を繰り広げており、それ以外の独立系書店が次々と店をたたんでいるのが現状です。

こういう状況ですので、「Barnes & Noble」が売却されるというのは、日本で例えば紀伊國屋書店(63店舗)やジュンク堂書店(38店舗)が売却されるということとは規模が違います。むしろ、日販とトーハンという二大寡占取次の一方が売却されるというのに近いのではないでしょうか。

今回の売却話は電子書籍戦略を視野に入れた資本強化が目的であって、全米にある700店の書店がなくなるといった話ではなさそうです。ただ、どこの資本家グループが買うにせよ合理化の下に不採算店舗を閉鎖といった流れに向かうことは避けられないんじゃないかと心配しています。

<追記>
なんだか面白いことになってるみたいです。
一部の報道やらTwitterによる伝聞のなかで、B&Nが書店経営から撤退するとか、店舗を閉鎖するだとかいう話になってるようですが、それはいくら何でも言い過ぎでしょう。こちらのブログの方(http://oharakay.com/archives/2121)が誤報に怒りまくっておられます。
私は株やら企業買収のことはよく分からないので、今回の件が「売却」とか「身売り」に相当するのか判断できませんが、公式のプレスリリースなどを読む限りでは、持株比率が大きく変わる規模の株式の売却もしくは外部資本の注入が行われる可能性が示唆されているように思われます。
とにかく問題はB&Nの株価が低すぎること。6月に投資家を集めて開かれた会議で今後の経営戦略について説明したものの(電子書籍分野を成長させる。リアル書店での本の販売は会社の大事な資産。近い将来に大規模な店舗閉鎖は考えていない、等々)、株価を向上させる役には立たなかったようです。会議では電子書籍部門への投資が過剰なのではという危惧や、リアル書店(英語ではbricks-and-mortar storesと言います。)がいつまでもつのかといった疑問が示されたとのこと。これはつまり現経営陣の経営戦略に対して疑義が突きつけられたという訳で、株価回復のためには経営陣の交代か外部役員の参加が必要と判断されても仕方がないということかも知れません。まぁ、素人判断だとそういう感じです。
現在は外部の専門家らに今後取りうる経営オプションを評価してもらっている最中ということなので、「売却」はあくまで一つの選択肢に過ぎません。以前から噂のあったように市場の株を買いあげて上場廃止するという手もあるでしょうし、優良不動産・店舗を売却して現金化するという手もあるでしょう。とにかく今は見守るしかありませんね。

ジョン・シェイド作の詩「Pale Fire」が単独で出版されるとか

http://www.slate.com/id/2261520/pagenum/all

この記事によると、ナボコフの『青白い炎("Pale Fire")』の一部をなしていたジョン・シェイド作の999行詩「Pale Fire」が、今年の11月に単独で出版されるそうです。版元はアメリカのアート系出版社のGingko Pressで、恐らくは豪華な装幀になるんでしょう。これに伴い、"Pale Fire"の読み方自体に意義を申し立てて、ジョン・シェイド作の「Pale Fire」を一つの詩として純粋に評価しようという企てがあるとか。文芸系ブログでは金儲けのためのイカサマだとすこぶる評判が悪いようです。

デイヴィッド・ミッチェル最新インタビュー

デイヴィッド・ミッチェル(David Mitchell)のインタビューがVanity Fairのサイトに掲載されています。

http://www.vanityfair.com/online/daily/2010/07/qa-with-david-mitchell-literary-platypus.html

"Cloud Atlas"映画化の話があるとか……って、その前に翻訳を早く出してほしいもんです。

あと、The Millionが新作のレビューを。

http://www.themillions.com/2010/07/at-the-movies-with-david-mitchell-the-thousand-autumns-of-jacob-de-zoet.html

ちょっと前になるけど、The New Yorkerに掲載されたJames Woodによるレビュー。

http://www.newyorker.com/arts/critics/atlarge/2010/07/05/100705crat_atlarge_wood?currentPage=all

英語で『源氏物語』を読む読書会

どうもご無沙汰しております。ピンチョンの『メイソン&ディクソン』が読み終わるまで、あまり更新できないかも知れません。

海外の読書サイトをまわって見つけたのがこのブログ。
http://summergenji.wordpress.com/
オンランマガジン二つが協力して、この夏に『源氏物語(The Tale of Genji)』を読もうという企画です。題して「Summer of Genji」。
1216ページもある本なので、毎週90ページずつ読んでも3ヶ月かかってしまいます。日本人ですら全部読んだ人は少ないというのに、頭が下がりますね。

青野武さんのこと

ベテラン声優の青野武さんが体調を崩されてレギュラー番組を降板というニュースを聞き、心配しています。

空飛ぶモンティ・パイソン」という吹き替えの金字塔を打ち立てた錚々たるメンバーのうち、広川太一郎さん、山田康雄さんはすでに鬼籍に入られており(まったく何と言う損失だろう!)、今度また青野武さんのお声が聞けなくなるのかと思うと残念でなりません。

私が最初に聞いたのはおそらく『宇宙戦艦ヤマト』の真田機関長。今思えばあんな真面目一辺倒な青年を演じられるのは珍しいことで、基本的には老人か悪役、しかもちょっと頭がおかしかったり、気弱だったりするキャラを演じられることが多かったように思います。海外ドラマでは『刑事ナッシュ・ブリッジス』での野沢那智さんとの見事な掛け合い、『宇宙船レッド・ドワーフ号』のコンピュータ・ホログラムことホリーのとぼけた味わいが忘れられません。映画『ゴッドファーザー2』の吹き替えでロバート・デ・ニーロをかすれ声で演じた怪演も印象的ですが、う〜ん、デ・ニーロってのは誰がやってもぴったりハマらない人ですからね。

ちびまる子ちゃん』での友蔵役は島田敏さんに交代することが発表になっていますが、気になるのは『One Piece』での鷹の目のミホークの声。どなたが交代されるのか分かりませんが、あの凄まじいまでの迫力と黙示録的セリフ回し(?)は青野さんならではのもので、代役の選考は難しいでしょう。大塚周夫さんなら良さそうなんだけど海賊王だしなぁ。まさか若本規夫さん?。小林清志さんとか納谷六朗さんはちょっと見てみたいかも。嗚呼、いつの日か訪れるであろうゾロとミホークの再戦を青野さんの声で見てみたかった!!

ドラゴンボール・改』は人造人間編がはじまったところで、神様とピッコロが合体するまでもう少しというところでした。神様のことといい、真田機関長が「こんなこともあろうかと」技術の限りを尽くした「はやぶさ」が地球に帰還したことといい(YouTubeの動画見ました?)、物事のタイミングというものには不思議な因縁があるものだと思わざるをえません。

もしもかなうことなら、青野さんが元気に復帰されることを祈っています。