世界のユリシーズ

下の記事にも出てきたジョシュア・コーエン(Joshua Cohen)という作家が、800ページを超える"Witz"という作品をDalkey Archiveから出版したばかりなんですが、こういう大部の(かつ難解な)小説を書くとジョイスの『ユリシーズ』と比較されるのがお決まりになっています。

そこで、6月16日のブルームズデイを記念して、世界各国で「○○国のユリシーズ」と称されている作品を一同に集めてみましたという記事がこちら。
http://www.thedailybeast.com/blogs-and-stories/2010-06-15/a-bloomsday-celebration-by-joshua-cohen-author-of-witz/
何のことはない、ジョシュア・コーエン自身がこの記事を書いています。

取り上げられている作品だけを並べてみますと――

ロシアのユリシーズ
アンドレイ・ベールイ『ペテルブルグ』(1913)

ブリテンユリシーズ
ヴァージニア・ウルフ『ミセス・ダロウェイ』(1925)

ドイツのユリシーズ
ルフレート・デープリン『ベルリン・アレクサンダー広場』(1929)

日本のユリシーズ
川端康成『浅草紅団』(1939)

ハンガリーユリシーズ
Miklós Szentkuthy "Prae"(1934)

インドのユリシーズ
G.V.Desani "All About H.Hatterr"(1948)

アルゼンチンのユリシーズ
Leopoldo Marechal "Adán Buenosayres"(1948)

トルコのユリシーズ
Ahmet Hamdi Tanpinar "A Mind at Peace"(1949)

ウェールズユリシーズ
ディラン・トマス "Under Milk Wood"(1954)

ブラジルのユリシーズ
João Guimarães Rosa "The Devil to Pay in the Backlands "(1956)

イスラエルユリシーズ
Yaakov Shabtai "Past Continuous"(1977)

スペインのユリシーズ
Julián Ríos "Larva: Midsummer Night’s Babel"(1983)

川端康成は違うような気もしますが……。いずれにせよ体力のある方にオススメのリストです。