Guardian first book award 2010 ショートリスト

Guardian first book award 2010 のショートリストが発表されました。この賞は例年ノンフィクションが選ばれることが多いのですが、今年は三冊の長編、一冊の短編集、一冊のルポルタージュが候補に挙がっており、久々にフィクションが受賞しそうな勢いです。

Samantha Harvey "The Wilderness"
すでに他の文学賞も受賞しており、ブッカー賞のロングリストにも挙げられています。アルツハイマー症によって記憶が失われていく建築家を描いた作品。

Reif Larsen "The Selected Works of TS Spivet"
版権をめぐって十社が競り合い、ペンギンが100万ドル足らずでゲットした作品。モンタナで暮らす12歳の天才地図製作者の物語で、余白に描きこまれた小さな地図や図表が心躍らせる一冊。

Eleanor Catton "The Rehearsal"
生徒と教師の恋愛事件に揺れる女子高の物語と、その物語を舞台で演じようとする演劇学校の物語が、交互に語られる異色作。著者はニュージーランドの人。

Petina Gappah "An Elegy for Easterly"。著者はジンバブエ出身。この十年はジェノヴァで法律家をやっていたものの、中年の危機で激しい鬱に襲われ、昔からの夢だった小説家を改めて目指すことにしたとか。最近何かと話題のジンバブエの様々な局面を描いた短編集ということで興味は尽きません。

今年は一冊だけだったノンフィクションの候補作はフィナンシャルタイムズのジャーナリストMichael Peelの"A Swamp Full of Dollars"。ナイジェリアと石油をめぐる混沌とした物語だとか。