60年後について二題

サリンジャーの訴訟について、Courhouse News Service というサイトが詳しく報じてくれていました。
これを読む限りでは、続編のパクリぶりは悪質としか言いようがありません。冒頭の設定が似通っている(ホールデンはプレップ・スクールを追い出され、Mr.Cは老人ホームを脱走する)だけではなく、ホールデンと同じようにニューヨークをさまようMr.Cは、60年前にホールデンが出会ったのと同じ人に再会し、ホールデンと同じように悩み、最後には『ライ麦畑』とそっくり同じように妹と一緒に回転木馬に乗っているそうです。
作者と出版社・流通会社はサリンジャーの訴えに対して徹底抗戦の構えのようですが、どう考えても無謀な試みのように思えてなりません。アメリカの著作権はそんなに甘くないでしょう。



村上春樹の『1Q84』はワイドショーまで賑わす騒ぎになっていて、昨日なんかはついに「読まなくてもわかる『1Q84』」と題して、フリップで粗筋紹介までしてました(涙)。ところで、本家とも言うべきジョージ・オーウェルの『1984』の方が出版されたのが1949年の6月8日ということで、先日60周年を迎えたことになります。『1Q84』の発売はそれに合わせたのかなとも思うんですが、せっかくなら発売日を10日ばかりズラせばよかったのにと思ったりしますね。
というわけで、イギリスの方では村上春樹と関係なく『1984』再評価の動きが出ているわけですが、一方でザミャーチンの『われら』をパクりすぎてるんじゃないか?という盗作疑惑まで出たりするから面白いです。