Hater by David Moody

Hater

Hater

ブレイド2」「ヘルボーイ」「パンズ・ラビリンス」 などの作品で知られるギレルモ・デル・トロ監督が映画化するということで注目されている新鋭David Moody の"Hater"を読んでみました。

主人公は典型的な駄目人間で、職場でも家庭でも始終不満を抱えてイライラしているタイプ。上司には馬鹿にされ、家に帰れば三人の子供たちがテレビのチャンネルをめぐって大騒動。妻は育児に疲れ果てて不機嫌だし、妻の父親は甲斐性なしの主人公に呆れて口を利こうともしない。

そんな折り、ごく普通の人が突然殺人狂(Hater)となって周囲の人間に襲いかかるという事件が続発する。

初めはただの偶然か、マスコミの過剰報道だと無視を決め込んでいた主人公らも、身近で起こる異常な事件の数々に、日常の感覚を失っていく。通りがかりの隣人が、職場の友人が、そして愛する家族もが、突如豹変して自分を襲ってくるかもしれない。人々は出歩くことを恐れ、疑心暗鬼に駆られて互いを殺しあう地獄絵図が展開する……。

おおまかなストーリーはこんな感じでしょうか。パニックが進行していくにつれて、ダメ人間である主人公の家族での立ち位置が微妙に変化していくあたりも面白いのですが、やはり圧巻は血みどろの結末部でしょう。「アイ・アム・レジェンド」とかゾンビ映画とか、終末ものが最近はやってますが、こういうやり方もありかという感じです。

ほとんどワンアイデアだし、SFとしては説明が弱く、政治的にとても間違っていたりして、小説知能指数が高いとは言えませんが、独特のテンションの高さとページターナーぶりは才能なんでしょうね。デル・トロがどう料理するか楽しみです。