村上春樹の新作タイトルは『1Q84』

村上春樹の新作のタイトルが三週間も前に発表されてましたね。

http://www.shinchosha.co.jp/murakami/

新潮社の公式ページ(といっても特に情報はありませんが)によると、今年の初夏に発売になる村上春樹の新作は『1Q84』というタイトルだそうです。あとは、という読み方が書かれているだけ。

それ以上の内容はまったく好評されていませんが、過去のインタビューなどで断片的な情報はけっこう出てきています。

とにかく長いことだけは確実。2年以上に渡って書き続けているものらしく、ヒューストン・クロニクルのインタビューによると、『海辺のカフカ』の倍の長さがあるそうです。

http://www.chron.com/CDA/archives/archive.mpl?id=2009_4688839

タイトルからして、ジョージ・オーウェルの『1984』を念頭に置いた作品であるのは間違いないでしょう。さらに、先日のエルサレム賞授賞式でのスピーチの内容なども考え合わせますと、全体主義的な社会のなかで個人が如何にして人間らしさを失わずにいられるか、自由な意思を保てるかといったメインテーマが予想されます。

幾つかのインタビューのなかで、最近日本で勢力を強めている歴史修正主義に対する懸念を示していること、太平洋戦争での日本軍の残虐行為について言及していることなども考え合わせますと、第二次大戦下での日本軍の行為に対する責任問題といったテーマにつながっていくのもおそらく間違いないでしょう。

別のインタビューでは、今度の小説が恋愛小説であること、「僕」を語り手とした一人称小説ではなく、複数の視点を用いた三人小説らしいことも明らかにされています。ある種の「全体小説(死語?)」を目指したものであることも間違いなさそうです。

ごく最近スペインのバルセロナを訪れた時のインタビューでは、「オーウェルは未来を見据えて『1984』を書いたが、僕は反対に過去を見てこの小説を書いた。同時に未来も見ながらね」というような発言もしています。

http://www.clarin.com/diario/2009/03/17/sociedad/s-01878722.htm