カズオ・イシグロ『浮世の画家』読書中

浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)

浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)

というわけで(前記事の続き)、カズオ・イシグロの『浮世の画家』を読みかけたんですが、時代錯誤が目につきます。

第二次大戦終戦後3年を経た1948年10月という設定で始まるのですが、

戦争犯罪人として処刑された将軍の話が出てくるが、東京裁判の判決が出たのが1948年11月で、処刑が執行されたのが同年12月23日。

②語り手の孫が『ゴジラ』らしき映画を見ているようだが、『ゴジラ』が作られたのは1954年。

③語り手の孫が「ローン・レンジャー」の真似をして遊んでいるが、日本で「ローン・レンジャー」のテレビ放送が始まったのは1958年。

など、50ページも読まないうちに、主なものでこれだけありました。小津の映画を見ているようで雰囲気はご機嫌なだけに、ディティールで注意をそがれるのが残念です。