ミステリが読みたい!2009年版

『このミステリがすごい! 2009年版』に先駆けて、早川書房から『ミステリが読みたい!2009年版』が出ておりました。
もともとは毎年ミステリマガジン2月号に掲載していた年間ベスト企画を、冊子の形で独立させたもの。いささか早川書房寄りの投票や企画が多いのは御愛敬としても、識者による投票に読者投票を加えてベストテンを選んでいるのは如何なものかと思う。このミスや文春との違いを出そうとしてるのはわかるけど、著しく異なった二つの母集団の集計結果をそのまま足して、何の意味があるんでしょうか。

海外部門のベスト5は以下の通り

1 運命の日 デニス・ルヘイン
2 フロスト気質 R・D・ウィングフィールド
3 ザ・ロード コーマック・マッカーシー
4 チャイルド44 トム・ロブ・スミス
5 深海のYrr フランク・シェッツィング

これが、識者だけの投票だとこうなる。ジョー・ヒルが入ってるのが嬉しい。

1 フロスト気質 R・D・ウィングフィールド
2 運命の日 デニス・ルヘイン
3 チャイルド44 トム・ロブ・スミス
4 ウォッチメイカー ジェフリー・ディーヴァー
4 20世紀の幽霊たち ジョー・ヒル

作家・批評家・書店員らの評は散らばりすぎてて、高得点が集まりにくい。
一方、読者評は人気作家と文庫本(特にハヤカワミステリ文庫)に評が集まりやすい。

2巻本で合わせて3780円もするルヘインの『運命の日』がトップというのは、ちょっと早川バイアスがかかってる気がする。去年の一位は村上春樹訳の『ロング・グッバイ』だったし。