Barnes & Noble が電子書籍を販売開始

アメリカ最大の書店チェーンBarnes & Noble(以下B&N)が、満を持してe-book市場に参入しました。Kindleを抱えるAmazon.comの一人勝ちだった市場が、大きく動き出しそうです。

Kindleが基本的に閉じたシステムであるのと対照的に、B&Nは専用の機器を提供するのではなく、パソコンやiPhoneBlackberryなど幅広いプラットフォームで利用可能。無料のeReaderさえダウンロードしておけば、例えばパソコンを使って購入したe-bookを、そのままiPhoneでも読むことができます。このあたりは少し前にB&Nが買収したe-book販売サイトFictionwise.comのシステムを利用しているようですね。

立ち上げと同時に提供されるのは70万タイトル。これには、Googleが提供しているパブリック・ドメインのタイトル50万タイトルも含まれており、この分は無料でダウンロードできます。Amazon Kindleにならって、新刊のベストセラー本は軒並み9.99ドルで購入可能。BN.comの代表によれば、あらゆる出版社からあらゆるe-bookを集めて、来年中には100万タイトルを提供する用意があると言います。

せっかくなので、私もさっそく利用してみました。

Barnes & NobleのeBookページからeReaderをダウンロードして、アカウント登録をすると、無料の古典小説5冊とMerriam Webster Pocket Dictionaryがついてきます。ちょっと使ってみると分かりますが、このeReaderの出来が素晴らしいです。特にiPhone版。線引きも出来るし、メモも書けるし、今第何章のどれくらいのところを読んでいるかといった情報も一目瞭然です。後発の強みを活かして、これまでのe-book readerの弱点ををすべてカバーしている感じです。単語を指定して辞書を引いたり、googlewikipediaで検索する機能までついていて御機嫌なのですが、デフォルトの辞書がしょぼくて語彙も解説も乏しいのは残念なところ。説明書によると他の辞書をダウンロードして使うことも出来るらしいので、それは今後の課題ということで。

いよいよ、e-bookを購入! せっかくなので9.99ドルの新刊をと言うことで、Sarah Watersの"The Little Stranger"とCarlos Ruiz Zafonの"The Angel's Game"のどちらにしようか迷った挙句、サラ・ウォータースに決定。Amazon Kindleだとアメリカで作ったクレジットカードがないと本を購入できないのですが、B&NのeBookは日本のクレジットカードで普通に購入することができました。ただ最後に請求書の住所を聞かれるのですが、ここにはアメリカ国内の住所を書かなくてはなりません。実際に請求書が送られるわけではないので、適当な住所を書いておけばいいようなもんですけど、郵便番号(ZIP Code)と州名が対応しているかはチェックしているようなので、実在の住所を参考にしたほうがいいと思います。

嗚呼! これで快適な洋書読書環境をゲット!
読者としては嬉しい限りなんだけど、リアルの洋書屋としては物凄い脅威なんだよなぁ。ハァ。