Jeffrey Ford のベスト10

Jeff VandermeerのOmnivoraciousで、Jeffrey Ford が選んだ今年のベスト10が発表されてました。Fordが今年読んだ本のベストってことで、過去に出た本も、まだ出ていない本も含まれています。

Pictorama by Kim, Seth and Simon Deitch
Dangerous Laughter by Steven Millhauser
The Library at Night by Alberto Manguel
Drood by Dan Simmons
The Best of Lucius Shepard
The Best of Michael Swanwick
Tender Morsels by Margo Lanagan
After Dark by Haruki Murakami
Pretty Monsters by Kelly Link
The Mirror: A History by Sabine Melchoir-Bonnet
Dr. Haggard's Disease by Patrick McGrath

フィクションだけじゃなくノンフィクションもグラフィック・ノベルも混じってますが、なかなか面白いリストですね。鏡の歴史ってのも読んでみたい。

驚いたのは、ダン・シモンズの"Drood"。来年2月に発売される未刊の本です。タイトルの"Drood"は、Edwin DroodのDrood、そう、ディケンズの未完成に終わった遺作"The Mystery of Edwin Drood"から取られています。チャールズ・ディケンズの伝記的事実をベースに、友人でありライバルでもあった作家のウィルキー・コリンズ(『月長石』や『白衣の女』の著者)を語り手として登場させて、虚実ないまぜのフィクションに仕上げているようです。1865年の6月9日にディケンズ列車事故に巻き込まれ、肉体的・精神的に傷ついたという歴史的事実があるんですね。しかも、その傷が完治することなく、事故からちょうど5周年となる1870年6月9日に亡くなっていると……。なるほど、これはダン・シモンズならずとも黒い想像力を働かせたくなるような暗合ですな。ディケンズ晩年の謎の部分や、遺作となった『エドウィン・ドルードの謎』の秘密などに切り込んでいるそうで、これで面白くないわけがなかろうという期待度満点の作品ですね。予約予約。

Drood

Drood