"An Evil Guest" by Gene Wolfe

An Evil Guest

An Evil Guest

昨年、ジーン・ウルフクトゥルー神話ものを書いていると聞いた時は驚いたものですが、ようやく入手しました。

只今読書中で、まだ3分の1くらい。

ニール・ゲイマン曰く「21世紀型パルプ・アドベンチャー・スリラーにSFとホラーの要素を加えた」作品ということで、ジャンルの壁をこれでもかと壊してくれているようです。

二流の女優だった主人公が、「魔術師」との異名を持つ凄腕の探偵によって、一気に才能を開花させるというのが発端。探偵の狙いは、正体不明の富豪にして舞台のパトロン、その実、危険きわまりないスパイとの噂が絶えない人物。新しいミュージカルの準備が進むなか、三人の関係に次第に変化が訪れる……などと書くとあたかもB級ロマンスのようですが、基本的に30年代40年代のパルプの雰囲気。ところが、ちらちらとラヴクラフトクトゥルーの影がチラチラしはじめ、気がつけば宇宙人やら人狼まで登場する始末で、オチがどこに向かうのやら全く予想できません。

ちなみに舞台となっているKingsportという町は、ラヴクラフトの作中に出てくる架空の町。有名なアーカム(Salemがモデル)の南西に位置しているという設定。「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」や「戸口に潜むもの」などに言及があるそうです。まだ確かめてないけど。