傑作との呼び声が高いTed ChiangのExhalation

このアンソロジーに収められているTed ChiangのExhalationという短編が、超傑作と話題になっているので、取り寄せて読んでみました。

ムムムム、確かにこれは凄い。

ある解剖学者の手記のように始まるのですが、まもなく彼らが人間ではなく、圧縮アルゴンを動力源としたロボットのような存在だとわかります。自らの脳を解剖する過程で語り手が発見した驚くべき事実は、宇宙の終焉を予言するものでもあり……

短編なので、これ以上のネタバレは避けたいと思いますが、我々の宇宙とは違う原理で動いている世界を描いていながら、脳科学やコンピュータ科学、熱的死や温室効果といった問題を、見事なまでの比喩でパラレルに描いていく手際には畏れいりました。年末のＳＦマガジンに翻訳が掲載されるそうなので、お楽しみに。

リスニングが得意な方は、こちらのリンクから朗読版を聴くこともできます。

リスニングは苦手だけど読むだけならなんとかというオイラみたいな人は素直に"Eclipse Two"を買ってください。テッド・チャン以外にも、アラステア・レナルズ、マーゴ・ラナガン、スティーヴン・バクスター、ナンシー・クレス、ピーター・Ｓ・ビーグル、ジェフリー・フォードなど有名どころが勢ぞろいのアンソロジーなので買って損はありませんよ。