オバマ・ブッククラブ

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このあいだの日曜日、アメリカの人気番組「60ミニッツ」に出演したバラク・オバマ氏が、最近出たF.D.R.(ルーズベルト大統領)の最初の100日間を描いた本を読んだと言ったところ、一体どの本だと月曜日に大騒ぎになったそうだ。オバマ氏がタイトルをきちんと言わなかったのが悪かったんだけど、その条件にあてはまる本が3冊あったというのがミソ。

ケンブリッジ大学のAnthony J.Badger教授は、CNNののプロデューサーからインタビュー取材の依頼が来た時、今年出版した自著「FDR: The First Hundred Days」のことだと思った。

一方、「Nothing to Fear: FDR's Inner Circle and the Hundred Days That Created Modern America」を間もなく出版するPenguin Pressの重役たちは、セールスの期待にほくそ笑んだ。

2006年に「The Defining Moment: FRD's Hundred Days and the Triumph of Hope」を出版していたニューズウィークの記者Jonathan Alterのところには友人たちからたくさんのe-mailが届いた。「オバマが今あなたの本のこと話してたわよ!」

月曜日の夜遅く、オバマ氏のスポークスマンによる発表があるまで混乱は続いた。次期大統領が言及していたのは実際には2冊の本。一冊はAlter氏の本で、もう一冊は去年発売されたJean Edward Smithの伝記「FRD」だった。新刊というのはオバマ氏の勘違いだったみたい……。

月曜日いっぱい踊らされた出版社と著者たちは苦笑いだけど、いい宣伝にもなったし、次に大統領になる人が歴史に関心を持っているというのは心強いというコメントも。オバマが読んでるというだけで、本のセールスが急上昇するとあって、新たなオプラ・ウィンフリーの登場と期待する声も多い。オプラ・ブッククラブならぬ、オバマ・ブッククラブというわけ。

などと思っていたら、オバマ・ブッククラブならぬ、バラク・ブッククラブという記事を発見。題して、「バラクのブッククラブにはブラウンよりキャメロンが先行」。内容はだいたいこんな感じ。

オバマ氏が最近明らかにした新たな愛読書は、ドリス・レッシングの『ゴールデン・ノートブック』、ソルジェニーチンの『ガン病棟』、そしてグレアム・グリーンの『権力と栄光』『おとなしいアメリカ人』の4冊。最近はあまり人気のないグレアム・グリーンの名前が挙がっているのに注目。

一方、イギリスのブラウン首相も好きな作家を公表していて、オーウェル、ミルトン、テニスントルストイワーズワースカミュサルトルH・G・ウェルズ、ギボン、イアン・ランキンといった顔ぶれ。ふむ、ブラウン首相はグリーンを挙げてない。

だがしかし、保守党党首デヴィッド・キャメロン氏は先日発売した著書「Cameron on Cameron」のなかでグレアム・グリーンが最愛の作家だと書いている! ただ彼が好きな作品は『ハバナの男』と『情事の終わり』なので、ホワイトハウスに招待される前に読み返しとかないとね。

と、政治家を皮肉った英国らしい記事。イギリスのブラウン首相は、選挙ポスターでもイアン・マキューアンの本を読んでる写真を使ったぐらいで、読書好きとして知られている人。マンガばかり読んでるどこかの首相とは大違いだな。