ブッカー賞の予備知識

来月18日に発表されるマン・ブッカー賞のショートリストは以下の通り。

Julian Barnes The Sense of an Ending (Jonathan Cape - Random House)
Carol Birch Jamrach’s Menagerie (Canongate Books)
Patrick deWitt The Sisters Brothers (Granta)
Esi Edugyan Half Blood Blues (Serpent’s Tail)
Stephen Kelman Pigeon English (Bloomsbury)
A.D. Miller Snowdrops (Atlantic)

ちなみにブッカー賞というのは、イギリス連邦(およびアイルランドおよびジンバブエ)に属する国民によって英語で書かれた長編小説が対象。アメリカの作家は対象外です。ジャンル小説への評価が不当に低すぎるとか(選ばれたことがない)、20世紀前半を舞台にした作品が選ばれすぎとか(選考委員の子供時代だから?)、選考過程に問題があるとか(出版社ごとに2作推薦できる)、色々と批判はあるものの、毎年選ばれるタイプの文学賞としては世界最高の権威を持っていると言えるでしょう。

さて、今年のブッカー賞は、ロングリストが発表された時点で、「ミステリに属するような作品が多すぎるんじゃない?」という話題で持ちきりになりました。ショートリストに残った作品を見るかぎりでも、ミステリ仕立ての作品は確かに多いようです。

本当なら候補作を全部読んでレビューを書いた上で、受賞作予想を出来るといいんですが、あいにくワタクシめの能力を遥かに超えております。

しかし、ご安心を。「ビンゴーの日記」という素晴らしいブログが、全作品を紹介してくださってます。総括によりますと、今年は全体に低調でジュリアン・バーンズの作品が突出しているとか。個人的に一番気になっていた西部劇のパロディ"The Sisters Brothers"もなかなかの出来ということですので、ブッカー賞の発表の前にこれくらい読んでみようかなっと。

ちなみに、ブッカー賞の選考は最近ちょっとハズしがち。去年選ばれた作品も、世評はかなり厳しいもんでした。