日本酒ゴーアラウンドですと!

ちっ、あやうく見逃すところだったぜい。

10月1日は「日本酒の日」なんだそうですが、それにあやかって「日本酒ゴーアラウンド」というイベントが大阪で開かれるそうです。
http://blog.livedoor.jp/manjigatame3/

「日本酒の日バッジ」をつけて、参加34店舗を訪れると、蔵元さんがいらして、日本酒一杯タダで飲ませていただけるそうで。しかも昼の12時からやってるというのが素晴らしいわね。思う存分飲んでまわりたいところですが、あいにく仕事が……orz

読んでるよって言うことが、読み続ける力になることもあるんだ

The Islanders

The Islanders

一応SFクラスターの末端に位置する者として、グレッグ・イーガンの新刊『プランク・ダイヴ』は購入しましたが、今日からの読書のメインは、クリストファー・プリーストの新刊"The Islanders"です。

いやー、自分がなんでブログとかやってたか思い出しちゃった。洋書とか読むのって実のところ凄くしんどくてハードル高かったりするから、「私、◯◯読んでます!」ってブログとかで公開しちゃうと、途中で挫折するのが恥ずかしくって無理して最後まで読んじゃうという、そういう効果を計算しつつブログ書いてたのでした。

そうか、だから最近、最後まで洋書読み切るのことが少なくなってたんだなぁ〜〜。

で、プリーストの新刊"The Islanders"は、国書刊行会から出版された『限りなき夏』にも収録されている夢幻群島(Dream Archipelago)シリーズに属する作品。大雑把に言うと、地球と非常に似た環境ではあるんだけれど、大陸と呼べるものが北半球に一つと、南極を中心とした一つしかない世界。その間に無数の島々が散らばっていて、独自の文化をはぐくんでいるという設定。"The Islanders"は、一応旅行ガイドという形式を取っていて、島の名前のABC順に解説されていくわけだけれど、プリーストだけに一筋縄でいくわけもなく、やりたい放題やってくれてます。まだ10%しか読んでないので、この後が楽しみ♡。

ブログ再開に向けてゆるやかな決意表明

いやー、気がつけば今の職場に変わって間もなく半年になります。このブログもすっかりご無沙汰になってますが、ぼちぼち再開してみようかなと思っております。

元々ブログを始めたのは、ランダムウォークという洋書店のスタッフブログとしてだったんですが、文学賞の紹介やら新刊洋書の紹介やらをしているうちに、なんだか適当なことを書くようになったのでした。しょーもないブログでしたが、えらいもので知らないうちに社内で名前が知られていたり、雑誌にコラムを書かせてもらったりと、貴重な体験をさせてもらいました。

結局、会社の倒産と共にブログも閉鎖することとなり、はてなダイアリーに移って……え〜っと、今調べるともうすぐ3年ですね。この1年は開店休業状態でしたが。ま、ほとんど生活は変わってないんで、どうせ洋書絡みの情報とか、翻訳小説の感想とか、時々お店のイベント情報とか、そんな感じのブログになるかと思います。よろしければお付き合いの程を。

今日は特にネタはないんですが、試運転でこんな感じで。

「ジョージ・R・R・マーティンが Kindle Million Club の新メンバーに」

9月19日、Amazon.com, Inc.は、先頃<氷と炎の歌>シリーズの最新刊を出版した作家ジョージ・R・R・マーティンのKindle Storeでの売り上げが100万部を突破したと発表しました。

「かつてグルーチョ・マルクスは『私をメンバーするようなクラブには入会するつもりはない』と言ったけれど、グルーチョだって Kindle Million Club は例外と認めるだろう」と、マーティンのコメントは如才ないですな。

でもって気になるのが、Kindle Million Club の他のメンバーなんですが……

Stieg Larsson
James Patterson
Nora Roberts
Charlaine Harris
Lee Child
Suzanne Collins
Michael Connelly
John Locke
Janet Evanovich
Kathryn Stockett

どうですかね。最近、日本では翻訳小説自体がすっかり売れなくなってるので、ピンと来ないかも知れませんけど、<ミレニアム>のラーソンと<ハリー・ボッシュ>シリーズのマイケル・コナリーくらいは納得ですかね。ジェイムズ・パタースン、ノーラ・ロバーツ、ジャネット・エヴァノヴィッチは日本でも昔から翻訳されてますけど、アメリカ本国とはかなり温度差あり。シャーレイン・ハリスの<サザン・ヴァンパイア>シリーズは、<トゥルー・ブラッド>のタイトルでドラマ化されてようやく知名度あがってきた感じ。リー・チャイルドの<ジャック・リーチャー>シリーズは毎年一冊出版されて必ずベストセラーになる大人気シリーズなんだけど、日本での翻訳は途切れがち。スーザン・コリンズの<ハンガーゲーム>は、近未来版『バトルロワイアル』という趣向でティーンを中心に大ヒットとなった作品。キャスリン・ストケットは人種差別問題を扱った『ザ・ヘルプ』という小説がもう2年もベストセラーリストに載ったままで、近頃映画化されてさらに話題になってます。

で、John Locke って誰ですかね?

ジョン・ロックとは、自然権の概念を提唱し、『市民政府二論』を著した18世紀イギリスの哲学者……とはまったく関係なく、自費出版でありながらKindle Million Clubに入会した驚くべき作家のようです。調べてみると……これは、これは、まさに驚くべき作家ですな。彼はKindle Direct Publishingというシステムを使って自分の書いた小説を出版社の手を介さずに直接Kindleで販売してる。しかも値段は、Kindleが設定している最低料金である99セント。1冊1ドルとはいえ、100万部も売ればかなりの金額が懐に入ってくるわけだ。しかもこの御仁、『私はいかにして5ヶ月で100万部の電子書籍を売ったか』というタイトルのノンフィクションまで出してる。大したタマです。

http://latimesblogs.latimes.com/jacketcopy/2011/06/independent-author-john-locke-amazon-million-kindle-seller-cost.html

『エルサレム・ポーカー』 版背表紙の紹介文

1921年12月末日、三人の謎めいた男たちが運命のポーカーの席についた。中東で媚薬効果のあるミイラ粉配給権を握っている蒼い目のアフリカ人カイロ・マーター。元アイルランド愛国者にして武器密輸業者、今では男根を模したキリスト教徒向けの土産物で一財産作ったオサリバン・ビアー。熱心なシオニストで干し魚の先物取引に賭けるムンク・ゾンディ。舞台となるのはエルサレムのとある古物商(実は三〇〇〇歳の遍歴の騎士)の裏部屋。やがて「グレート・エルサレム・ポーカー」と呼ばれることとなるこのゲームは十二年も続き、エルサレムそのものの支配権をめぐる賭けへと拡大していく。世界中から押し寄せた何千人もの賭事師がこのゲームに参加し、聖都を手にしようとして莫大な富を失った。しかし最後にテーブルに残ったのは三人だけ。最初にゲームを始めた三人だった。今まさに最後の手札が配られようとしたその時、もう一人の競争者がゲームに加わる。ヌバール・ワレンスタイン。世界最大の石油シンジケートの後継者にして、国際スパイ組織の非情なるボス、そして不死を追い求める狂信的な錬金術師でもある男。各々の運命、そして人類そのものの運命、すべてはカードの巡りあわせにかかっていた……。

<試訳> エドワード・ホイットモア著 『エルサレム・ポーカー』(1978) プロローグ

初夏の一日が明けゆく光のなか、プロシア人の男爵とその妻はともに老いを重ねて肥え太った裸体を汗まみれして立ちあがり、大ピラミッドの頂上で日の出を待ち受けていた。

空気は暖かく、砂漠の静謐さに包まれている。時は1914年。ヒンターポンメルンからやって来た高貴な二人組は、大ピラミッドの頂上で夜明けに愛を交わし、満足ゆくまで絶頂を迎えるという長年の夢を果たしたばかりだった。

頂上から数段下では、ここまで二人の世話をしてきた経験豊かな黒人ガイド、かつては奴隷だったカイロ・マーター(Cairo Martyr)という男が腰かけていた。男爵と妻にとっては長い人生の中で特質すべき瞬間だったが、マーターにとっては英国20ポンドを稼ぐ飯の種となってきたいつもの日の出でしかない。

マーターはあくびをすると煙草に火を点けた。

地平線を離れた太陽の光を、男爵と男爵夫人は両手をいっぱいに広げて受けとめた。二人の肌も髪もあまりに白いので、砂漠の夜明けのなかではほとんど目に見えない。

ぎらつく汗と腐りかけの脂肪。日の出。のんびりと一服ふかしたカイロ・マーターが視線を北に向けると、飛行機の唸りが遠くに聴こえてきた。

それはアレクサンドリアからナイルを遡って首都へと朝の郵便を運ぶ小さな三葉機だった。次第に大きくなる機影を眺めていたマーターは、それがまっすぐピラミッドに向かっていることに気づいた。次の瞬間、無蓋の操縦席に座った颯爽とした人影を見分けることができた。革のヘルメットに航空メガネをかけ、白いスカーフを風になびかせたイギリス人パイロットがニヤニヤ笑いを浮かべている。

屈め!とマーターは叫んだ。屈むんだ!

だがしかし、夢見心地の男爵と男爵夫人の耳には彼の言葉も飛行機も届かなかった。地平線上の巨大な赤い火の玉は、老いた肉体を貫く熱をともなって二人を催眠状態に陥れていた。飛行機は陽気に翼を傾けて、かつて人類が造りあげた最も印象的なモニュメントに敬意を表した。やがて優雅に機体を返すと、速度をあげて南に向かった。

思わず立ち上がったカイロ・マーターは、自分で目にしているものが信じられなかった。ほとんど目に見えない男と女が両手をいっぱいに伸ばしたままピラミッドの頂上に立ちつくしている。だが、その身体に首はなかった。三葉機の一番下の羽根でスッパリと切断されてしまったのだ。二つの肉塊は数秒の間その場にとどまり、やがてゆっくりと傾いでいくと、ピラミッドの向こう側へと落下して姿を消した。

カイロ・マーターは新しい太陽を見つめた。指を焦がした煙草が落ちていった。

1914年の朝の郵便。

古き時代に敬礼を。

それから、のんびりとした十九世紀風の古い秩序を颯爽と切り裂いた驚くべき新型飛行機にも敬礼。突然翼をバタつかせて遮二無二に加速を始めた機械時代では生き残ることができなかった世界にも。

その朝、大ピラミッドの頂上で目の眩むほど衝撃的な認識に襲われたマーターは、ヴィクトリア朝の奴隷の日々が永遠に終わったことを知った。もう二度とヴァカンスを楽しむヨーロッパ人に仕えてバザールの裏小屋やナイルに浮かぶ手漕ぎ舟で御用聞きをすることはあるまい。ピラミッドで日光浴をする植民地主義者たちの時代は終わった。ヴィクトリア朝時代は頭を失ったのだ。

19世紀という時代は、プロシア人男爵と男爵夫人にとってと同じく、マーターにとっても1914年の初夏の夜明けに突然終わりを遂げた。世界のその他の場所でこの全く新たな事態が認識されまでには、あと数週間が必要だった。

イギリスで最も影響力のある女性ベスト10

ブッカー賞の発表を明日12日に控えて、こんなネタ。
National Magazine Companyが選ぶ「イギリスで最も影響力のある女性ベスト10」

01.JK Rowling
02.Victoria Beckham
03.The Queen
04.Shami Chakrabarti
05.Cheryl Cole
06.Samantha Cameron
07.Cath Kidston, designer
08.Kate Moss
09.Dame Vivienne Westwood
10.Dame Tanni Grey-Thompson

3位の女王を凌ぐJ・K・ローリングヴィクトリア・ベッカムは日本でもお馴染み。ローリングは<ハリー・ポッター>シリーズの作家というだけでなく、著述により得た財産で積極的に慈善活動を行っていることも評価の対象になっているみたい。ヴィクトリアは、ポップ・アイコンとしてだけでなくファッション・デザイナーとしても活躍。

4位のシャミ・チャクラバルティという方はまったく存じませんでしたが、イギリスの人権派圧力団体Libertyの代表。2001年以降、テロリスト対策としてあまりに行き過ぎた人権抑圧が行われているとしてラジオや新聞で批判を繰り広げている。

5位のシェリル・コールはご存知の人気歌手。

6位のサマンサ・キャメロンはキャメロン首相夫人。

7位のキャス・キッドソン、8位のケイト・モス、9位のヴィヴィアン・ウェストウッドは、女性にはお馴染みの名前かと。

10位のタニ・グレイ・トンプソンさんも日本では馴染みがありませんが、パラリンピックで11個の金メダルを獲得した偉大なアスリート。その功績を讃えて一代貴族Baronessの称号も与えられています。

こうして見ると、芸能/ファッション関係が半分で、作家、政治家、スポーツ選手などが残りの半分を占めてますね。

このリストがどういう調査に基づくものなのかはっきりしないんでアレなんですが、日本で同じようなリストを作ったらどうなるんだろうと考えちゃいます。勝間和代さんが入るのは確かとして、残りはみんな芸能/ファッション/美容の関係者になっちゃうじゃないかしら。蓮舫はギリギリ入るかな? あとは……谷亮子クルム伊達公子??黒柳徹子?? あっ、美輪明宏が……えぇ〜っと、女性でよかったのかな?

禁書週間2010

このリストが何のリストかおわかりでしょうか。

1. TTYL series by Lauren Myracle
2. And Tango Makes Three by Justin Richardson and Peter Parnell
3. The Perks of Being A Wallflower by Stephen Chbosky
4. To Kill a Mockingbird by Harper Lee
5. Twilight series by Stephenie Meyer
6. The Catcher in the Rye by JD Salinger
7. My Sister's Keeper by Jodi Picoult
8. The Earth, My Butt, and Other Big, Round Things by Carolyn Macker
9. The Color Purple by Alice Walker
10. The Chocolate War by Robert Cormier

日本では馴染みのない作品もありますが、サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』やハーパー・リーの『アラバマ物語』といった古典的作品もあれば、ステファニー・メイヤーのトワイライト・シリーズのような現役バリバリの人気作品もあります。青春文学の古典といっていい『チョコレート・ウォー』もあれば、人種問題を扱ったアリス・ウォーカーの『カラー・パープル』もありますね。このあたりで、夏休みの児童推薦図書じゃないかと予想した人は鋭い! ただし正解はその逆で、子供たちに読ませるのに相応しくないからと図書館から撤去するよう要請の多かった図書のベスト10なのです。

http://www.guardian.co.uk/books/2010/apr/15/stephenie-meyer-most-challenged-authors

今週は全米図書館協会(ALA)が主催する禁書週間(The Banned Book Week)。自由な読書を妨げようとする危険な動きに注意を促そうと、毎年こうしたリストを発表しています。昨年協会が報告を受けた禁書運動は460件に上り、これは実際の数の20〜25%程度だろうと予想されています。実際に学校や図書館から書籍が撤去された数は81例あり、その中には『素晴らしい新世界』『君のためなら千回でも(Kite Runner)』『ブラック・ホーク・ダウン』『アラバマ物語』といった作品が含まれていたそうです。